【サンプルページ 1681文字】根管治療ではラバーダムが重要!?

根管治療は歯の根の内部を徹底的に消毒し、細菌感染を防ぐ非常に繊細な治療です。その成功率を高めるうえで「ラバーダム」という器具が使用されています。一部には「ラバーダムは本当に必要なのか?」との声もありますが、ラバーダムには感染予防や治療の精度向上など、重要な役割が数多くあります。ここでは、根管治療の概要やラバーダムの必要性について詳しく解説します。

根管治療とラバーダムの関係性

そもそも根管治療とはどのような治療なのでしょうか。また、根管治療とラバーダムはどのような関係にあるのでしょうか。本項では日本でのラバーダムの使用率にも触れ、根管治療とラバーダムの基本情報についてまとめます、

根管治療とはどんな治療か

根管治療とは、虫歯や外傷などによって歯の神経や血管(歯髄)が感染や炎症を起こした際に、歯の根の中を清掃・消毒し、再び細菌が入らないように密封する治療方法を指します。この治療によって、天然の歯を抜かずに残すことができます。ただし、根管内は非常に狭く複雑な構造のため、徹底した無菌操作が不可欠です。

ラバーダムとは何か

ラバーダムとは、ゴム製のシートを歯に取り付けて、治療する歯だけを口腔内から隔離するための器具です。これにより、唾液や細菌の進入を防ぎつつ、安全にも配慮した治療環境を整えることができます。ラバーダムは単なるシートではなく、根管治療ほか歯科治療の質を大きく左右する医療器具のひとつです。

日本におけるラバーダム使用率

先進諸国ではラバーダムの使用が義務付けられている場合が多いですが、日本では残念ながらその使用率は高くありません。2019-20年の調査によれば、日本の一般歯科において、根管治療時に必ずラバーダム使用する割合は14.1%と報告されています。

ラバーダムは、根管治療において多くの役割と効果を発揮します。無菌的な処置ができる環境作りや、器具や薬液の誤飲防止、患者さんへの安全性や快適性の向上などが挙げられます。治療の成功率を高め、トラブルを未然に防ぐためにはラバーダムの活用が非常に有効なのです。以下にその具体的な役割を詳しく紹介します。

無菌的な治療環境の確保

口腔内には多くの細菌が存在し、唾液を介して簡単に感染が起こってしまいます。ラバーダムは唾液が治療部位に侵入することを完全に遮断するため、口腔内からの細菌の再感染を防止できます。

唾液以外にも周囲の歯に付着したプラークによる汚染も防止できます。根管治療で使用する道具は細長いものが多く、ラバーダムを使用しないと、治療器具が周囲の歯に触れて汚染されてしまいます。

ラバーダムを使うことで、治療する歯を完全に隔離し、外部からの細菌汚染を防げます。その無菌的な環境は治療の成否に直結し、歯を健康に保つために不可欠なポイントとなります。

治療器具や薬液の誤飲防止

根管治療では非常に小さな器具や強力な薬液を扱います。ラバーダムで治療部位以外をカバーしておくことで、治療中に器具や薬液を飲み込んでしまう「誤飲・誤嚥」といった重大な事故を防ぐことができます。

根管内を洗浄するためには強力な薬液を多量に使用します。ラバーダムを使用することで、患者様の安全性に配慮できるだけでなく、術者として徹底的な洗浄を行えるメリットがあります。

根管治療の精度向上

ラバーダムを使用することで治療する歯のみに集中でき、口腔内の他部位の影響を受けずに精密な操作が可能となります。視野が確保されやすく、唾液などによって治療を妨げられることもなくなるため、治療の精度が大幅に向上します。

近年ではマイクロスコープを用いた精密根管治療が行われるようになってきていますが、精密根管治療にこそラバーダムが必要といえます。精密根管治療ではデンタルミラーに反射した根管を見ながら治療を行います。ラバーダムがなければ、ミラーが呼気で曇ってしまいスムーズな根管治療が妨げられてしまいます。

ラバーダムの使用により、より確実な根管治療が実施でき、長期的な歯の保存に繋がります。